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前月の新着情報 その1 その2 

「通販生活」夏の特大号(カタログハウス)に掲載。

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 日本製紙連合会とケナフ協議会のホームページ対論をめぐって「ケナフが森を救う」は、ウソだ、いやホントだ。

ケナフ紙の利用を推進する一部のグループが揚げたスローガン「ケナフで森を救う」を受けて、日本製紙連合会は、「ケナフで森は救えない。木材紙が森林破壊の悪者にされている」と待ったをかけた。一方、ケナフ協議会も「行きすぎた報道もあるが、ケナフは将来的に木材の代替になりうる」とやはりホームページ上で反論した。現段階で森を救うか否かの決着はつけるのは早計だが、木材紙とケナフ紙、両者の特長を生かしつつ森を守るために、私たちには何ができるのか。両会の代表に聞いてみた。

ケナフ論争のここまで
 森林保護をアピールするつもりがケナフバッシングに…。
昨年11月、日本製紙連合会は、「『ケナフが森を救う』というのは本当ですか?」という表題で、同会の見解をホームページに掲載した。
"製紙原料の救世主"とまで評価されるようになったケナフに対して、

●「ケナフが森を救う」というのは本当ですか?
● 「ケナフは地球温暖化防止に役立つ」というのは本当ですか?

など、数項目の設問を投げかける形式になっている。
日本製紙連合会の主張は、「国内で生産される紙の原料は古材や残材、計画的に植林された森林で伐採された木材を利用している以上、木材紙の消費が森林破壊に影響を及ぼすと決めつけるのはまちがいだ」というものである。
 これに対してケナフ協議会側は同会発行の『ケナフ協議会ニュース』(2000年1月号)で、日本製紙連合会「ケナフ紙利用と森林保護を結びつけるのは短絡的」とする主張に反論した。
「1トンのケナフ紙は1トンの木材パルプに相当するわけだから、当然、森林の伐採も少なからず防げるはずだ」というのだ。
 さらに、製紙メーカーが低質材とはいえ、木材を伐採している事実を指摘して、「製紙業界は森林破壊には関与していない」という日本製紙連合会の回答を疑問視して、絶縁紙やフィルターなどの工業用製紙メーカーである、三木特種製紙提供のホームページに「『ケナフで森救えない』というのは本当ですか?」の表題で掲載した。

私たち消費者は、古紙も含めた木材紙製商品とケナフ紙配合商品をどのように使い分ければいいのか。環境のためにはどちらが優しいのか。今後の紙原料は何に頼ったらいいのか。両会の代表に聞いてみた。


木材紙の消費は森林破壊につながりません。
ケナフだけが森を守っているわけではありません。

日本製紙連合会 広報部部長 尾崎脩二さん

製紙産業=環境破壊の産業という偏見を改めたい。

私たちはケナフの普及に異論を唱えるつもりはありませんし、ケナフ商品の普及を妨げるつもりもありません。ケナフについては、ケナフ紙のもつ独特の風合いや性質を生かした利用が考えられます。『「ケナフは森を救う」というのは本当ですか?』をHPに掲載した目的は、一部の勢いあまった団体によって、消費者の間に広められた「ケナフを利用すれば、環境保全に役立つ」という誤った認識や「紙消費の増大は森林の減少につながる」といった偏見を改めたいからです。対立だけを面白おかしくとらえるのではなく、『ケナフ紙の使用によって森が守られているわけではない』という私たちの主張を読みとっていただきたい。
いまだに、「製紙産業=木を切り倒している環境破壊の産業」という偏見や、「非木材紙=環境破壊を救う」という短絡的な認識が根強いのは残念です。こんな偏見を定着させた責任の一端は、私たち製紙業界側にもあります。森が「再生可能な資源」であり、製紙業界は、実際にこれを活用して森を持続させていることをアピールできなかったと反省しています。
そこで、遅ればせながら、海外での植林活動やバイオ技術の開発をテーマとした小冊子を作成して消費者やマスコミに配布したり、各地で環境講演会を開催しています。木材紙に対して誤解や偏見を招く可能性のある報道に対しては、日本製紙連合会として抗議し、正しい理解を求めています。

 一方で、ケナフを支援する一部の団体もマスコミのミスリードに乗じてしまったのではないでしょうか。現在、店頭に並んでいるケナフ商品の中には、ケナフがわずかしか含まれていない商品もあります。そんな商品にさえも「ケナフで環境保護…」の宣伝文句が表示されています。残りの大部分はバージンパルプや古紙が配合されているのですから、その商品が利用されることで森林保護に貢献しているのは、むしろ製紙業界側でしょう。ケナフ商品への誇大広告に関しては、業界内でも規制を設けてほしいと思います。
ケナフを木材の代替原料として一般の紙に大規模に利用しようという動きには、現時点では現実的でないと言わざるをえません。

 日本国内でのケナフの栽培については、土地の確保や輸送コスト、保管場所、パルプ化のコストを考えれば、将来的に見ても困難です。これは、私たち製紙業界が、ケナフの研究を以前から続けていて、少量ながら、実際に生産しているという実績があるから言えることです。
しかし、たとえば、インド、タイ、パキスタンなどの紙の消費量が少ない国に限っていえば、製紙原料としてケナフを栽培することは有効だと思います。
 また、木材資源が乏しい、木材パルプの製造設備が少ない、古紙の集荷処理設備が少ない・…・このような従来の木材パルプ製造システムを持ち合わせない国では、「産業振興」という意味合いでケナフ栽培→パルプ化というシステムを導入することは有効でしょう。現地の人たちの現金収入も増えて、森林破壊の元凶である焼畑農業が減る可能性もあります。日本国内においては、和紙工芸品などの特殊な分野での利用を進めていけば
いいと思います。


紙の需要が増大する将来に備えて、
ケナフの特性を生かした利用に期待しています。

ケナフ協議会 専務理事 後藤英雄さん

ケナフの誇大広告を改善しようと動き始めました。
初めに、お断りしておきますが、ケナフ協議会として、『ケナフが森を救う』という発言をした覚えはありません。もちろん、今回の対論についても、ウソか、ホントかの二者択一の結論は出せません。私たちはこれからも地道にケナフを育てていく、ただそれだけです。
日本製紙連合会がおっしゃるように、私たちも、すぐにケナフが木材に代わる紙原料になるとは考えていません。ただし、紙の需要が増大するに違いない何年か先には、その増加分をまかなう素材としてケナフに期待をかけています。日本製紙連合会には、「ケナフの将来性と特性を見守ってほしい」とお願いしたい次第です。

 ケナフは製紙原料として本格的に注目されてからまだ日が浅いので、正直言いますと、まだ、どんな分野に特長が生かせるか、日本での収穫量はどのくらい期待できるか、など不明な点がいくつかあります。100年以上の歴史を持つ木材パルプを原料とする製紙産業と、ケナフのそれとを比較するのは無理があるのではないでしょうか。
 現在これほど定着している再生紙にしても、「製品化には時間がかかる」「コストに問題がある」と、非難を受けたことがありました。10年前には絶対無理だといわれていた古紙100%の再生紙が今では広く普及しているではありませんか。
 ケナフにしても、今日明日の便利を考えるのではなく、5年先、10年先の地球環境を見据えて、消費者とメーカーが普及拡大に取り組めば、私たちの生活に浸透して、安価で求められるようになるはずです。この将来を見据えた認識をもつことが、世界有数の木材輸入国であり、紙消費国である日本の役割ではないでしょうか。

 再生紙のトイレットペーパーなどの商品化も進んでいますが、私たちは、むしろ、ケナフの特色を生かした利用方法について優先的に研究しています。たとえば、ティッシュペーパーの原料にはケナフ靭皮部(外側)のように繊維が長く、ある程度の強度と柔軟性をもつ素材が向いています。今の段階で、5年先なのか10年先なのかは断言できませんが、こうして、少しずつ生産性や付加価値を高めていけば、問題視されている生産コストも下がると考えています。
最近、ケナフを応援するわれわれにとって迷惑な状況が発生しています。
ケナフの配合割合が少なく、特長を生かしきれていない商品に表示される「地球環境に貢献」などの広告です。ケナフに対する大げさな期待を改める意味で、ケナフ協議会としても誇大広告を改善しようと動き始めました。

「ケナフパルプを総重量比20%以上配合した原紙およびその原料を使用した紙製品、紙加工品」と「ケナフを総重量比10%以上配合した紙以外の加工品」のパッケージにケナフマークをつけることにしました。ケナフの特長に対する正しい理解が期待できますし、ケナフ配合商品の利用も広がるはずです。

 最後に、「木材紙の原料は製材端材だから森を破壊していない」という日本製紙連合会の主張には納得できない部分もあります。製材用として伐採されたのだから、製紙業界には無関係とおっしゃるのでしょうか。消費者に対しての更なる説明が必要だと思います。